先週は 3 行の中堅銀行が破綻し、パニックによる大規模な銀行倒産が懸念される状況となりました。現在も不安は残るものの、週末に閉鎖されたSilicon Valley Bank シリコンバレー銀行 (SVB)、Silvergate Bank シルバーゲート銀行、Signature Bank シグネチャー銀行 、3 銀行の預金者は、資金を利用できるようになる見込みです。 3 行の破綻は、いずれも暗号資産に大きな影響を与えるものです。USDC発行元のCircleは、シリコンバレー銀行に 33 億ドルを預金しており、これはUSDCのビジネスの裏付けとなるドルの約 8% を占めています。このような預金に関する懸念により、USDCでは週末にペッグが機能しない状況となりました。その後ペッグは回復しましたが、この事象は、ステーブルコイン発行者やその他の暗号資産ビジネスのオフチェーン カウンターパーティー…
2020年末に大きな伸びを示したビットコインやイーサリアム等の暗号資産は、2021年には史上最高値を更新するなど、非常に好調な1年となりました。それでは、暗号資産の価格上昇によって、最も恩恵を受けたのは誰でしょうか?Chainalysisは、昨年に続き今年も、地理的な観点からデータを分析し、国ごとの暗号資産の実現利益に関する比較を行いました。特に今回は、前年とは異なり、分析対象をビットコインに限定せず、Chainalysisが追跡する全ての暗号資産に関する実現利益へと範囲を拡大し、データを分析しました。 国別暗号資産利益の算出:Chainalysisの手法 暗号資産は、その分散化した特性により、地理的な分析を行うことが容易ではありません。しかし、Chainalysisが保有する取引データとウェブ・トラフィックデータを組み合わせることで、どの国が暗号資産のアクティビティに寄与しているかという点を、適切に見積もることが可能となります。 まず、Chainalysisが追跡している全ての暗号資産ビジネスを対象に、全暗号資産のブロックチェーン上のフローをマクロレベルで測定します。次に、引き出し資産および預け入れ資産の価値の差額合計を米ドルで算出することにより、それぞれの資産で得られた総利益を推計します。さらに、各取引所のウェブサイトにおいて各国が占めるウェブ・トラフィックの割合に基づいて、これらの利益(または損失)を国別に分配します。この方法は完璧なものとは言えません。理想的には、サービス単位ではなく、個人またはウォレット単位で利益を計算するやり方が考えられますが、今回のやり方では、特定の国の暗号資産ユーザーの総利益を合理的に見積もることができます。取引データとウェブ・トラフィックを組み合わせるという形態は、Chainalysisが毎年の「Global Crypto Adoption Index(世界暗号資産導入指標)」の計算に使用しているフレームワークと同じものです。 国別暗号資産実現利益(2021年) Chainalysisが追跡する暗号資産全体で見ると、全世界の投資家が手にした総実現利益は、2020年の325億ドルから、2021年には1,627億ドルへと拡大しています。以下のグラフは、このような利益獲得の上位50ヶ国を示したものです。 2021年 暗号資産総実現利益(推定) 米国が暗号資産から得た実現利益は470億ドルとなり、全体の中で大きな割合を占め、他を引き離しています。さらに、英国、ドイツ、日本、中国と続きます。しかし、昨年同様、暗号資産への全体的な投資パフォーマンスが、従来の経済発展指標の順位を上回っていると思われる国が多数見られます。 トルコのGDPランキングは、11位となる2兆7,000億ドルですが、暗号資産の実現利益は46億ドルで、6位にランクインしています。 ベトナムのGDPランキングは、25位となる1兆1,000億ドルですが、暗号資産の実現利益は27億ドルで、16位となっています。 ウクライナのGDPランキングは、40位の5,760億ドルですが、暗号資産の実現利益は28億ドルで、13位となっています。 チェコのGDランキングは、47位となる4,600億ドルですが、暗号資産の実現利益は19億ドルで、19位となっています。 ベネズエラのGDPランキングは、78位となる1,440億ドルですが、暗号資産の実現利益は11億ドルで、33位となっています。 このような傾向は、Chainalysisの「Geography of Cryptocurrency Report(暗号資産の地理学レポート)」の分析結果と一致しています。このレポートでは、送金や通貨切り下げへの対応策として暗号通貨を採用している新興市場国の数を調査しています。…